就労を希望される衛生士さんへ

ここからは、衛生士学校の学生さん、或いは歯科衛生士、歯科助手、受付などとして医療の現場に携わっている人たちへ向けてお話しさせてください。

歯科衛生士

女性スタッフが生き生きと働くことはこんなに素晴らしい

さて、ちょっとお願いがあります。

これをご覧の貴方も今までに何回かお医者さんにかかったことがあると思います。大きな病院、または小さい診療所に行った時、或いは入院した時のことなど何でもかまいません。

その「感情の記憶」をちょっと思い出してみて下さい。

学校や仕事を休んで仕方なく行った時もあったでしょう。その時の記憶として目に浮かぶのは、おそらく、順番を待っている患者さんたち、物々しい医療機器、冷たい感じの廊下、診療室の独特のにおいなどでしょうか、明るく楽しかった記憶はほとんど出てこないかも知れません。医療機関のちょっと暗いイメージはそんなところから作られるのかも知れません。

人は人の優しさに癒される

しかし「そんな中でも良い思い出として残っていることはありますか?」と問われたらどうですか、私個人の答えから先に述べさせていただければ「そこのスタッフがくれた優しさ」がまず思い浮かびます。例えばこんな・・・「治療や注射はすごくつらかったけど看護婦さんの優しい一言に癒された」とか「検査の痛みに飛び上がったけどその後の先生の頼もしさに救われた」などです。皆さんも思い出すことがいくつかあるでしょう。 検査や治療がつらいことは患者さんはみんな納得して受け入れています、しかしその前、或いはその後に「癒してもらった」ことで患者さんは救われ元気になるのです。医療の現場ではこの「癒し」が非常に大切なことなのです。その時の感動がきっかけで医療を仕事に選んだ方も中にはいるかも知れません。

医療現場にしかない「すばらしさ」とは

世の中には無数の仕事がありその全てが最終的には「世のため人のため」になっています。ただ、その中でも「相手の顔が見え、自らが手を施し、感謝される仕事」はそう多くはありませんし、それは非常に有り難いことなのです。例えば、缶詰工場に勤務しているとします、缶詰の味と品質には絶対の自信を持って日々仕事をしても、その缶詰を食べる人を知るよしもありませんし、味の評価もすぐには聞けません。ましてや「美味しかったよ」と感謝されることも希にしかないでしょう。一方、今貴方が携わる医療職では、「言葉を交わし、処置を施す患者さん」は目の前にいてお名前も、人となりも分かります。反応は即座に返ってくるのでで緊張感が絶えませんが、その分仕事の可能性、充実感は無限に拡がるおもしろさがあります。医療職の醍醐味とはまさにそこにあるのです。責任の大きさに気を抜く暇はありませんが、それを補って余りある素晴らしい充足感が医療職にはあると私は信じています。

医療に携わる人たちは生来「優しい心」を持っている

このメッセージをお読みになっている方々はおそらく10代後半で将来、医療に従事することを思い描き、学校で学び、社会に出て医療に携わっているのだと思います。数ある職業の中から医療職を選択し、従事する人たちは他の人とは大きな違いがあるのです。それはその人は生まれながらに「ホスピタリティなマインド」を持っていることです。そのマインドは成長の過程で知らず知らずのうちに育まれ、特に意識しなくても「他の人の役に立ちたい」「手を貸してあげたい」といった思いを人一倍強く持つようになるのです。このような人たちが自然と医療の世界に集まって来て医療を支えているくのです。そこが他の職業との決定的な違いです。「ホスピタリティマインド」を持った人たちの存在があって初めて良質な医療が成り立つのです。

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 医学は全能の神ではない

当院もやはり医療機関でありますから患者さんからすれば「出来れば行きたくない所」なはずです。患者さんは内心そう思っていても「痛いのを治したいから」「早く良くなりたいから」との思いで色々やり繰りして通院していることを我々医療人は決して忘れてはなりません。現場では「適切な医学的処置がなされること」は当然ですが、それだけでは殺風景になってしまい患者さんの心は満たされません。それは「医学が絶対完璧な存在」ではないからです。個人によって身体、感情の反応は様々で同じではありません。

つまり個人差が大きく関わってきます。同じ病気に同じ処置をしても同じような結果にならないことは医療の現場では良くあることなのです。この「現実のギャップ」を補うのに不可欠なものが「ホスピタリティ(癒し)」なのです。苦しい症状、治らないつらさ、空しさには「人の優しさ、ぬくもり」が一番の癒しとなるのです。大災害の混乱した現場では医療の手がすぐには回らないことがしばしばです。

そんな過酷な状況では人の優しさ、温もりが何よりの癒しとなって多くの人を救い、立ち直るきっかけに繋がるのです。身近なところでも「お医者さんに診てもらって説明を聞いたら楽になった」とか、「お母さんにおなかをさすってもらったら痛みが和らいだ」といった経験をお持ちの方もいると思います。医療とは「適切な医学的処置」と「ホスピタリティな心」の二つが補い合って初めてが成り立つものだと思います。

これから医療に求められるものは「人の優しさ、ぬくもり」

当院でも開業以来「適切で確実な治療」が提供できるよう日々研鑽を積んで参りました。現在では各科のベテラン専門医も含め、オールラウンドに相当ハイレベルな診療内容を提供していると自負しております。その一方で治療技術と同等に熱心に取り組んできたのが「癒しの雰囲気づくり」です。

では「癒しの雰囲気」とはいったいどの様なものでしょう?

といっても難しく考える必要はありません。それは働く人全員がお互いを尊重し明るく楽しく自信を持って仕事していれば自然と備わってくるものです。お互いを知り、相手の人格を認め、尊重し合うことでそこには「暖かい気」が生じます。その温もりを守り育てていけば、それがいつか自然と「癒しの場」になっているのです。こんなことを想像してみて下さい。

寒い寒い冬の日、家の囲炉裏には火が絶えず、部屋は暖かい。人々は楽しく談笑しとっても幸せそうだ。外から凍え来た旅人はその部屋の空気に安心してくつろぎ、もてなしを受け癒される、そして元気になった後出立する。「癒しの場」とはそういうものだと思います。囲炉裏のある家が医療機関であり、そこに集う人たちが医療スタッフ、旅人が患者さんということになるでしょう。

そこでのおもてなし(この場合は治療技術にあたりますか)が一流であったら申し分ないですね。そんな歯医者さんってとっても素敵でしょう、私だったら是非罹りたい。こんどう歯科もそんな歯科医院になろうといつも思っているのです。

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「ホスピタリティ」はそこに集う人々が醸し出す

ここまでお話しして「こんどう歯科クリニック」どんな歯科医院でどこを目指そうとしているのか少しわかっていただけたと思います。

当院が一番大切にしているものは「適切で確実な医学的治療」と「癒しの場であること」です。この二つは車の両輪のような関係でどちらかが欠けると上手く進みません。「適切で確実な医学的治療」は他のページに書いたように提供するには多くの修練が必要ですが、一方「癒しの場」とは苦労して生み出す類のものではありません。

スタッフが自信を持って毎日生き生きと働いている所には自然と「良い気」が生まれてきます。その「良い気」に引かれて人々が集い、感謝と感動を重さねるうちに自然と「優しい温もりある雰囲気」が醸し出されてゆきます。

このゆっくりと時間をかけて醸成された「良い気」こそが「癒し」なのです。医療機関にこの「癒しの場」があって初めて「治療の効果」が十二分に発揮されます。人の優しさこそが人を救うのです。

最初に書いた「女性スタッフが生き生きと働くことはこんなに素晴らしい」とはここに帰着します。