「歯周病はなかなか自覚症状が出ない」ので 気付かないことが多い

30代後半のMさんは「歯ブラシを当てると歯ぐきから血が出て、痛いところがある」といった症状でおいでになりました。ひどく腫れたり、痛みが出たことは幸いまだ一度もないとのこと、 歯ブラシは朝晩2回、数分間行い、歯間ブラシやフロスは特に使っていないそうです。お酒は時々の飲みますが、喫煙経験は有りません。 さて、お口の中を見てみると・・・

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歯ぐきがブヨブヨとした感じで腫れており歯と歯の間の所々に歯石が付いているのがわかります。

多くの方は歯周病であっても重症になるまでは症状がほとんど有りません。「歯石を取って欲しい」とか「定期検診を希望」などで来院され、見つかることが多いのです。「腫れて痛い」「グラグラして咬めない」などといった症状の出る頃はかなり進行しているのです。早めの受診をお勧めします。

治療の基本は「お口の中をきれいにしていくこと」です

Mさんの場合は検査をしたところ「初期の歯周病」でした。 歯磨きの習慣もあり喫煙も有りませんので「歯磨きや歯石除去」などの基本治療を徹底することで治せると判断しました。顕微鏡検査では歯周病原菌が多数確認されたため除菌療法も合わせて行うこととしました。

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歯ぐきの形や色も見違えるように良くなりました

基本治療が終了しメインテナンスに入った6ヶ月後の状態です。ブヨブヨだった歯ぐきは引き締まりきれいになっています。歯石やプラークなどの感染源を徹底的に取り除いくとほとんどはこの様に改善します。Mさんは喫煙習慣が有りませんので治りも非常に良いのです。

歯周病の再発を防ぐには「メインテナンスがカギ」となります

このきれいな状態が長く続いていけばMさんの歯周病は治ったと考えて良いでしょう。しかし、お口の中は非常に汚れやすいところです。磨き残しのプラークが多くなると歯周病原菌が再発してきたりします。再感染、再発は御自分ではわかりにくいので専門家による定期的なチェックは欠かせません。定期的に歯石などの汚染物を除去するメインテナンスを続けていけばお口の健康を末永く維持することが可能となっていきます。

「歯周病を治せた」という自信がつけば、もう安心

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当初は1ヶ月毎だったメインテナンスは症状が安定するにつれ3ヶ月後、6ヶ月後と間隔を開けていきます。それは患者さん御自身が自分できちんとお口の健康管理が出来るようになった証です。この「自分で治せた」という自信はご自身の健康管理にきっと役立つはずです。

「もう大丈夫ですね、今まで通り続けていただければ心配いりません」我々医療者はこの一言を言える瞬間が一番嬉しいのです。

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