三丁目の「南六さん」は歯周病で困っていましたが、こんどう歯科にしばらく通って治療しすっかり良くなりました。 今日は一ヵ月後の「歯周病の検診」にやってきました。

担当歯科衛生士から「一ヶ月後の今日も問題なく経過良好ですので、メインテナンスに移りましょう」と言われました。 そこでふと、南六さんは歯科医院で「メインテナンス」って何かしらと思いました。

メインテナンスって何するの?

南六さん:

「おかげさまで歯周病もすっかり良くなりました。歯医者さんでメインテナンスがあることを初めて聞きました 」

院長:

「はい、確かに“歯科医院でメインテナンス” なんて不思議な感じだと思います。 身の回りでメインテナンスといえば‘オフィスの空調機’‘マンションのエレベーター’などがすぐに思い浮ぶと思います。 そのほか道路や鉄道、上下水道設備など過酷な環境で24時間稼働し、故障や機能不全が重大なトラブルにつながるものはすべてメインテナンスが行われているのです。

人体だって結構、酷使されていると思いますが、内科や外科でも検診はあっても“メインテナンスする”とはあまり聞きません。歯科では悪くしないためにメインテナンスが極めて大切です。これは別にお話した歯科疾患の特殊性に起因するのです 」

 

院長の話はこのくらいにしてここからは、当院のベテラン衛生士「面手(メンテ)さん」に「」について分かりやすく説明してもらいましょう。

歯科医院でのメインテナンス

面手さん:

「南六さんは初期の歯周病でしたので、歯周病菌の除菌を行いその後、お口全体の歯石の除去とクリーニングを行いました。

治療終了一ヵ月後の検査でも歯周病原菌の再感染や歯茎の腫れ、出血もなく非常に良い状態ですね」

南六さん:

「おかげさまで歯茎の状態がすっかり良くなりました。以前は疲れると奥歯が腫れたり、良く磨いているつもりなのに血が出たりといつも悩まされていました。

今回治療を受けてからは今までの症状がピタリとなくなりました」

面手さん:

「本当に良かったですね、南六さんが歯周病を理解してきちんと治療をなさったからですよ」

南六さん:

「これからはどんな事に注意すればよいでしょうか?」

面手さん:

「まずは今やっているような歯磨きで良いでしょう。南六さんは被せ物が多いので磨き残しに注意してください。歯垢が古くなると歯周病源菌が再発する可能性があります。それを防ぐため歯間ブラシや糸ようじを併用するのもお勧めです。

その後は南六さんの歯ぐきの状態でしたら、三ヵ月毎のメインテナンスで良いでしょう

南六さん:

「わかりました。ところでメインテナンスっていったい何をするんですか?」

面手さん:

「そうですね、メインテナンスなんて今まで歯科医院では聞き慣れない言葉ですよね。まずメインテナンスに来ていただい時にする事は、大きく分けて『点検』と『クリーニング』の2つです。

南六さん:

「なるほど、点検って検査の事ですね。それとクリーニングとは歯石取りとお掃除のことですか」

面手さん:

「そうですね、検査ではまず歯周病原菌の再感染の有無を調べます。これが一番大切、あとは歯周ポケット、歯茎からの出血などを検査します。再感染や悪化がなければ大丈夫です」

南六さん:

「歯周病原菌の再感染なんて嫌ですね・・・」

面手さん:

「そうなんです、再感染は私たち歯科衛生士が一番注意している事なんです」

南六さん:

「どうすると再感染するんですか?」

面手さん:

「最大の原因は喫煙ですね、喫煙者の歯ぐきは血行不良により免疫力、回復力が大幅に低下しています。その結果再感染しやすいのです。当院のデータでも喫煙者の再感染が多いのです。

それと磨き残しの多い方は残念ながら再感染が多いようです。歯垢が古くなってくると歯周病原菌などの悪玉菌が増えて来てしまいます」

南六さん:

「やはり歯磨きは大切なんですね」

面手さん:

「そうですね、有効なお薬が登場して来てもやはり歯磨きは必要です

それとおやっと感じるかもしれませんが『ベロ磨き』もお忘れなく、ベロの表面は細菌の最大の供給源なんです」

南六さん:

「それって聞いことあります、インフルエンザの予防にベロ磨きが有効って事と同じなんですね。

もう一つのクリーニング、これは気持ち良さそうですね」

面手さん:

「歯の表面をクリーニングして歯石や渋など、悪玉菌再発の足がかりになるような汚れを取り除きます。終わったあとは非常にすっきりして気持ちいいですよ。」

南六さん:

「私の場合、メインテナンスは3ヶ月毎で良いんでしょうか」

面手さん:

「南六さんは初期から一部中等度の歯周病で喫煙習慣もなく歯磨きもきれいですから、まずは3ヶ月毎で良いと思います。その後経過が良ければ半年後というふうにしていきましょう」

南六さん:

「歯磨き剤はこちらで勧められたものが良いんでしょうか?」

面手さん:

「そうですね、やはり“カビ取り効果”のあるものが良いと思います。歯周病原菌などの悪玉菌はひ弱なので単独では生きられませんが、歯垢の中にカビ菌などが覆い茂って“ぬくぬくと住み心地の良い環境”になると増えてきてしまいます。これを防ぐ意味からも“カビ取り歯磨き剤”が有効と考えています」

南六さん:

「よく分かりました。なんか今まで歯周病に悩まされていたの遠い昔のことのように思えてきました。3ヶ月後の来院が楽しみです」

歯科医院でのメンテナンス

 

面手さん:

「本当に良かったですね、私は南六さんならもう心配ないと感じております」

院長:当院でもこのような会話のやり取りは日常、ごく当たり前になってきました。現在では「検査→歯周病原菌駆除→検査→治療→検査→メインテナンス」といった治療の段階を症状に合わせて確実に行うことで「初期から中等度」の歯周病の多くを劇的に改善させることが十分に可能です。歯周病や歯茎の不快症状で長い間お困りの方々には是非一度、お耳を傾けてみることをお勧めいたします。